2017年11月16日

欧州にて

日々の業務に忙殺されながらもHPをアップデート出来なかったのが何とも心残りでした。漸く国際ファンド会議も無事終わり、ホッと一息。日本から唯一のプレゼンテーターとして、日本の現状を欧州の各国政府やヘッジファンドマネージャーに伝えることが出来たと思います。

 

また、金融サロンの「ヘッジオンライン」では日々国際情勢をお伝えしていますが、今般、特に会員の方のみならず、本HPに登録されている皆さんにお伝えしたいなぁと思うことは市場流動性の巻き戻しが国際的に始まっていることです。

 


【先週のヘッジオンライン】
11月06日 エニグマ(塚口氏)
11月07日 量的緩和解除考察19(塚口氏)
11月08日 サウジアラビア考察1 (塚口氏)
11月09日 サウジアラビア考察2(塚口氏)
11月10日 株価過熱感考察(藻谷氏)

 

好調な労働市況を背景に、私が予想してきたように、インフレ予防的な利上げについては、米連邦準備理事会(FRB)が中長期的なインフレ圧力に対応した金融政策の正常化に向けての歩みをとっていくことが確認されています。

 

先月、今月と欧州・英国の両2大中銀が金利の正常化に向けて方向転換を打ちだしています。爾来10年の株式市場を支えてきた、中銀主導の金融緩和という大きな柱が外れた瞬間が今年なのだと、後で振り返れば考えられることになるでしょう。低金利の支えを失う形でそろそろ、新興国市場を中心に国際金融市場にも暗雲が垂れ込めてきた感があります。

 

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(11/10終値、前月比)
■ NYダウ工業株30種
23422 -40.  +581(+2.54%)
■ 米国債2年金利
1.65% +0.14%
■ 米国債10年金利
2.39% +0.08%
■ 米国債2-10年金利差
0.74% -0.06%
■ 米ドル/円
113.53 +1.25(+1.11%)
■ ユーロ/米ドル
1.1665 -0.0165(-1.39%)
■ 原油価格(WTI)
56.74 +6.14(+12.13%)
■ VIX短期先物指数(T.1552)
12220 -740(-5.72%)

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今週は、量的緩和解除が世界的に見えてきたため、やや長期のおはなしをお届けしたいと思います。日銀がひたすらに金融緩和を続けようとしている中で、世界では、アメリカに続きヨーロッパの中央銀行が10月26日に金融緩和の縮小を決めるなど金融政策を正常化させる動きが進んでいて、大規模な金融緩和が長期化する日本との違いが一段と際立ってきています。

 

米連邦準備理事会(FRB)が秋にも米国債を含む保有資産の圧縮を始め、2008年のリーマン危機以降、中央銀行が演出してきた低金利政策が転機を迎えています。金利反転リスクへの警戒も根強く、「米国債バブル」の言葉も生んだ長期緩和の出口を軟着陸させられるかは、世界経済と金融市場の安定性を左右すると考えられています。

 

さて、私は今ウクライナの首都キエフにいます。

ここウクライナの通貨価値は、3年前の1ドル5グリブナだったところが26グリブナになっています。通貨価値が5分の1になったということです。その結果、平均賃金は1人1月150ドル程度になっています。半年前に来た時には28グリブナで、スタバでサンドイッチとコーヒーを頼んで50グリブナ程度(200円程)だったのが、今回100グリブナ(400円程)なので、相変わらず物価も高騰を続けているように感じています。

 

 

取引先銀行とのディナーからホテルに帰ってきて、私が感慨深くTVを見ているのですが、それはトランプ大統領の、環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する11カ国がベトナムのダナンで協定内容について大筋合意に達した時に行った彼の演説です。

 
11カ国は離脱した米国の将来の復帰に望みをつなぐものの、ダナンで10日に演説したトランプ米大統領の主張には、トランプ氏は知的財産の侵害やサイバー攻撃、国有企業の優遇などを、自由で公正な競争をゆがめるものとして激しく批判。中国を暗に攻撃しつつも、中国の勢いを止めようとするTPPをも貿易赤字の削減に向けて攻撃するという演説です。

 
米国人最優先主義や米国の保護貿易が鮮明化していくことがそのスピーチで改めて確認されたわけですが、保護主義とあいまって、ちょうど1年前に行われた「権限を首都ワシントンから国民に返す」というトランプ新大統領の挑発的なそのスタンスはブレていないということを感じました。海外やエスタブリッシュメント層に対して極めて挑発的で挑戦的な内容が繰り返されているわけです。

 
しかし、国民間の対立は亡国に至るほどの無益なものです。例えば、今いるキエフの中心にあるマイダンという広場では、3年前にロシア派のウクライナ政府と欧州派のウクライナ国民が対立、後ろにあるホテルからのスナイパーの射撃によって数百人がなくなっています。

 

この暴動はその後「ウクライナ内戦」としてロシアの介入を招きクリミア半島を喪い、ウクライナ東部とウクライナ西部の分裂を招いて今に至っています。その結果の通貨の暴落で金利と生活費が跳ね上がり国民は塗炭の苦しみを経験しているというのが現状です

 

アメリカ国民間の貧富の格差拡大とその格差定着が国民間での内部対立を避けがたいものとしていることに気付いているからこそのトランプ大統領の庶民受けする選挙対策が功を奏したことを考えれば、今後もやはり彼の政策の焦点がどうしても大衆迎合的にならざるを得ないことは明らかです。

 

 

したがってトランプ大統領としても国民の中で生まれつつある分裂からくるストレスのはけ口を見つけていかねばなりません。減税や財政拡大などの大衆迎合策がそれであったり、自分に跳ね返ってくる前に、それは貿易戦争であったり外国人を排撃することであったりすることになりそうです。しかし、財源の裏付けがない以上、あらゆる大衆迎合策は、債券増発で補わざるを得ません。

 

 

金利引き上げや量的緩和解除も含めて、米国債券価格にネガティヴな話が増加してきており、そう考えた場合、円高には要注意です。

 

 

以上
平成29年11月13日 ヘッジオンラインから一部抜粋

plus plus社 塚口 直史

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