2016年7月20日

「シミュレーション思考」その1

この度、私の処女作である『シミュレーション思考』(2016年7月22日) 新書出版に合わせて本個人公式ホームページを立ち上げました。

『シミュレーション思考』とは私のオリジナルの言葉ですが、言わんとしているところは、将来予想がますます難しくなってきている、多極化し複雑化してきている現在の世の中で、全部のせ1点賭けというような行為はやめましょう、複数の将来を予想して複数の投資ストーリーを作って分散投資しましょうということを提議した上で、その将来予想の方法を「シミュレーション思考」と名付けて本書では紹介しています。

ファンドマネージャーとして私が運用する資産は、海外金融機関から国内上場企業のオーナーなど多岐にわたる顧客からの預かり資産になります。彼らのような資産家は、常に広くアンテナを張り巡らせ、そして、情報感度を高くしている一流の資産家ほど、運用利益云々といった目先の数字には興味を示さない傾向を強く感じます。むしろ、「一体なぜこのような投資をおこなうのか」という、運用の背景にあるストーリーを多く入手しようとしています。複数の示現確率の高いストーリーを有した上で投資やビジネスを行っていく、まさに「シミュレーション思考」を地で行っていくことが、一流の資産家になるコツとも言えましょう。予め、多くのパターンを予想した上で事に当たれば、どのような局面が来ても迅速にバランスよく対応していくことが出来るからです。

「シミュレーション思考」という「行動への導線」

また、ただ考えるだけではなく、行動につながる思考を私は『シミュレーション思考』と位置づけています。

例えば、少子高齢化を迎える日本においてはますます成長性が見込める外国への投資は避けて通れないものとなってきています。しかし、成長性が高い反面でリスクも高い新興国投資を行う過程では、大きな利益を出すこともあれば大きな損失を出すこともあります。そうした時には『将来こうなるのでは』と、複数のストーリーを予め組み立てて予測しておくことが肝要で、追加投資やロスカットといった形でそこに向けて行動します。資産ではなくストーリーに自分の時間とお金を投資するとも言えましょう。そのため、海外投資ストーリーの維持や変更にに多大な影響を及ぼす国際情勢などの情報収集に余念がありません。

この将来予想に基づくストーリー作成の過程で確信度が出来上がっていき、実際の投資という行動につながっていくわけです。将来予想をせずに今の雰囲気だけで「エイや」と乗り出したり、全部賭けで1点集中でいくと、ちょっとでもマイナスリターンが出たりビジネスが不調になると、精神が不安定になって慌てて手仕舞ってしまいがちになります。まさに「焦る乞食は貰いが少ない」ということになるのです。

「リスクを取らなことこそリスク」

もっと突き詰めていうと「リスクを取らないことこそ、動かないことこそリスク」であるという時代に突入しています。「今日の長者は明日の乞食」です。動くための処方箋として『シミュレーション思考』が投資だけでなく通常のビジネスにおいても欠かせないものとなってきています。

本ホームページや、主にはSBIグループとの提携で開設しているネット金融サロンでは日次で、新興国の視点を通じて世界を俯瞰し、グローバル投資のファンドマネージャーとして私が日頃思っていることを、政治・経済、特に国際金融市場について、モスクワやウクライナなど東欧から折に触れてアップデートしていきたいと思っています。

Tadashi Tsukaguchi Official MAIL MAGAZINE